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2012.10.02

『終末のフール』の“太陽のシール”を読み終えました。

 

話の内容を含みます、これから読まれる方はご注意願います。



優柔不断な冨士雄と快活で明朗な美咲という二人の若い夫婦の物語。『終末のフール』は共通の衝突の避けられない小惑星がくるその日まで後3年というタイミングでの、それぞれのストーリーの一つ。

8章構成の中の第2章に当たる太陽のシールは最初の終末のフールと同様にありきたりな家族の中の一つにスポットが当てられています。

10年できなかったこのタイミングで、うれしくも悩む妊娠。産まれてくる子供は、予定通り小惑星が衝突するなら3年しかいきることができません。それが幸せなのかどうか。残酷ではありませんか。後三年をどう過ごすのでしょう。優柔不断さが冨士雄に磨きをかけます。

学生の頃の同級生、土屋君にさそわれてサッカーをやることになります。土屋君は前にでるタイプではありませんが、リーダーのような存在で安心感を周りに与えてくれます。気がつけばみんなは彼を慕い集まっているという理想の指導者のような友人。

サッカーの休憩時に土屋君の落ち着いた告白。先天性の重い病を患った7歳の息子、リキのこと。土屋君夫婦がいなくなれば、彼の面倒をみることができない、それがつらいです。でも後3年でみんな一緒になっちゃいますけれど、申し訳ないけれど3年で土屋君たち3人は死ぬ、一緒に死にます。周りのみんなも死ぬことになりますが、そういう拭えない不安からは解放されました。人がいなくなっても、今みている太陽とたなびく雲は残ってるんだと彼はいいます。太陽のシールだって。剥がれないんだって。

ぞぞっとした、この表現。情景が浮かびます。いつの間にか冨士雄であり土屋君に、呼んでいる僕を変質化させています。

最後の藪医者で誤診が通常と噂の産婦人科でみてもらったという今回の妊娠が、「産もう!」と決断した冨士雄のこころをいわれもなき見えない奈落につき落とします。その心の落差も大きいです。優柔不断なままの方が良かったのだろうかと思いました。読み進めることが怖くなります。あと数ページなのに、決断する人間に変化した冨士雄によって、物語の結末も変化していくのだろうと思って読み進める。

太陽のシールは剥がれない。

なんてすてきなんでしょうね。短いので読み始めも読み終えたのも朝でしたけれど、とても感動して心がジャンプしています。本を読むことはこれが一番好きなんですよね。1時間も読んでいないのに感動傑作の映画を見た気分になれるんです。今日は素晴らしいスタートです。嫌なことがあっても、この今朝の気分でなんとかなる確信があります。

太陽のシール、よかったです。

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